■MRAM市場概況
MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)は半導体メモリーの一種で、磁気を利用してデータを記憶することから「磁気抵抗メモリー」とも呼ばれます。MRAMは電気を供給しなくても記憶を保持する不揮発性メモリーであり、電力消費が低いという特徴があります。揮発性半導体メモリーであるDRAMに匹敵する高速性や書き換え耐性を有しています。MRAMはメモリー単体だけでなく、マイコンやCPU(中央演算装置)に組み込むこともでき、埋め込み型MRAMは「eMRAM」と呼ばれます。
MRAMは2000年代には製品化されていましたが、DRAMやNAND型フラッシュメモリー等の他のメモリーに比べ、記憶容量や価格面で劣るという弱点がありました。その後、小型化、高密度化を可能とした第2世代のMRAMが開発され、2020年には256MBタイプが、2021年には1GBタイプが量産されるようになるなどMRAMの大容量化が進んでいます。eMRAMについても、2019年には1GBクラスの量産が開始されました。MRAMの弱点であった記憶容量が改善したことで、2019年から2020年にかけて市場が本格的に形成されました。現在は第2世代よりも大容量・高密度化を可能とした第3世代のMRAMが既に量産段階に入っており、MRAMの大容量化の実現によってDRAM等の他のメモリーからのシフトが進んでいくことが見込まれます。
MRAMは大規模企業向けサーバー、次いで産業機器での利用が多く、最近ではスマートウォッチなどのウェアラブル機器用途で中国メーカーによる採用が進んでいます。今後は、MRAMの有する高速性、超低消費電力、耐環境特性などの性質を強みに、高速処理が必要な通信分野、自動運転などのモビリティ分野、航空宇宙・防衛分野、AI関連などの用途での採用が高まると見込まれます。参入企業数が増加していること、各社が生産規模を拡大していることで、MRAM は価格低下が進んでおり、今後さらに価格低下、大容量化が進展した場合にはスマートホンやコンシューマーエレクトロニクス分野での採用も予想されます。こうした用途の広がりによってMRAMの市場は拡大が見込まれます。
本調査では、世界におけるMRAMの出荷金額を推計しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
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