■医療ビッグデータ分析サービス市場概況
医療ビッグデータ分析サービスは、健康保険組合の保険者データ、調剤レセプトデータや電子カルテのデータなど、医療機関等から入手した医療データを分析・加工し、付加価値をつけて提供するサービスです。データから医薬品の治療効果や副作用の発生状況を解析し、臨床試験や治験データの代替として活用、時系列での医薬品治療効果の追跡、疾病ごとの有病率や罹患率を把握等が可能となります。
医療ビッグデータ分析サービスは、2000年代前半から国内での提供が開始されていましたが、近年、医療ITが進展したことで大量のデータの収集や解析・分析が以前より容易にできるようになり注目を集めています。2017年5月の改正個人情報保護法施行など、医療ビッグデータを活用しやすくするため関連する法規制も整備が進んでいます。
国が収集している医療データには、レセプト情報・特定健診等情報データベース、通称「ナショナルデータベース(NDB)」、「介護データベース」、「DPCデータベース」等がありますが、今まではこれらのデータの利用は、国、自治体、大学、研究開発独立行政法人などの公的研究機関に制限されていました。2019年の健康保険法等改正により、各DBの連結解析を可能とするとともに、民間事業者等への第三者提供に関する規制が整備され、2020年10月から製薬会社が新薬開発のために利用できるようになったことも市場拡大の一因となっています。NDB等のデータは、データが標準化されていなかったり、それ以外の電子カルテデータなどの医療データも、情報のフォーマットが統一されていなかったりと、データを解析できるようにするためには時間とコストをかけてデータを整える必要がありますが、医療ビッグデータ分析サービス企業は、これらの医療データも利用できる状態にデータクレンジングし販売、サービス提供しています。
医療ビッグデータ分析サービス企業はデータを切り売りするだけでなく、そのデータに基づいた解析・分析・コンサルティングを行ったり、新たな用途を提案したりするなどデータに付加価値をつけることで事業を拡大させています。医療ビッグデータはデータが蓄積されればされるほど幅広くサービスを提案できるため、データの蓄積に伴い新しい市場が創出されることで、市場規模は拡大が見込まれます。
本調査では、民間企業が提供する医療ビッグデータの使用料と解析・コンサルティング料を含めた国内売上金額を対象に市場規模を推計しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
MDB有望市場予測レポートシリーズは、今後、成長が期待できる有望・注目製品/サービス/市場について、MDBが独自取材を実施し、取りまとめたオリジナルレポートになります。MDB有望市場予測レポートの概要はこちらをご覧ください。MDB Digital Searchをご利用いただくとすべての有望市場予測レポートがご覧いただけます。