■パブリッククラウド(IaaS/PaaS)市場概況
クラウドコンピューティングは、サーバーやストレージ等のコンピューターリソースを、インターネット等を経由して利用する形態を指します。クラウドコンピューティング環境を不特定多数のユーザーに向け提供する形態を「パブリッククラウド」と呼びます。パブリッククラウドは、提供するシステムのレイヤーにより IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)に分けられます。IaaSはサーバー、ストレージ、ネットワーク等のハードウェアレイヤー、PaaSはハードウェアに加えアプリケーション開発・実行環境やデータベース、分析機能等、SaaSはアプリケーションソフトウェアを提供するサービスです。
パブリッククラウドは、ユーザーが自社でサーバーを保有する必要がなくネットワーク接続で簡単に利用開始できることや、ニーズに合わせて必要な分だけ利用できること、常に最新のシステムが利用できメンテナンスの必要がなく運用コストが抑えられることなどがメリットとして挙げられます。市場の立ち上がり当初はシステムを外部に置くことへのセキュリティ懸念もみられましたが、パブリッククラウドの運用実績の蓄積が進んだことで信頼性が高まり、パブリッククラウドの利用が一般化しています。
企業がパブリッククラウドを活用するシステムはメールやグループウェアなどの情報系システムが先行していますが、基幹系システムやすべての企業システムをパブリッククラウドで運用する企業も増加しています。パブリッククラウドベンダーが企業の社内システムでのパブリッククラウドの利用を取り込むため、SIer等のパートナーを介した販売を強化していることも、需要獲得につながっています。
パブリッククラウドにおいて提供する機能の多様化も需要取り込みにつながっています。ビッグデータ分析やIoT、機械学習といった、顧客からのニーズが高い機能をパブリッククラウドで提供することで、これらの機能を求めるユーザーの需要も獲得しています。
2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大し、テレワークの導入が多くの企業で進んだことも、オンプレミスからクラウドへの移行を後押ししています。また、近年多くの企業でDXが重要な経営課題として位置付けられるようになっており、迅速かつ柔軟なシステム開発を可能とするパブリッククラウドは親和性の高さからニーズが高まっています。パブリッククラウドの導入は大手企業やスタートアップ企業が先行していましたが、パブリッククラウド利用の一般化により、中堅・中小企業での導入も進んでいます。既存ユーザーの利用規模拡大、新規需要の取り込みにより、市場規模は拡大が続く見通しです。
本調査ではパブリッククラウドのIaaS/PaaSに該当するサービスを対象とし、国内のサービス販売金額を対象に市場規模を推計しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
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