■資産管理アプリ市場概況
資産管理アプリとは、預金、有価証券などの金融資産の状況や、毎月の支出状況を一括で管理できるアプリケーションです。家計簿アプリ・金融資産管理アプリとも呼ばれます。スマートホンが普及し始めた2012年前後にマネーフォワード、Zaim、マネーツリー等の主要企業が設立され資産管理アプリの市場が立ち上がり、手軽に家計を管理できるサービスとして利用を伸ばしてきました。
資産管理アプリの機能には、金融機関の口座と連携させて利用する自動管理機能などがあります。資産管理アプリと金融機関の口座との連携方法には、スクレイピング方式とAPI連携方式の二種類があります。スクレイピング方式は、ユーザーの代わりに資産管理アプリ事業者がユーザーの金融機関のログインID・パスワードなどの認証情報を用いてデータを取得する方法であり、セキュリティの懸念や、接続工数がかかるためシステムへの負荷が大きいといった課題がありました。API連携では、ユーザーは金融機関の認証情報を資産管理アプリに入力する必要がないため、より安全かつ少ない手間でアプリを利用することができます。2018年6月に施行された改正銀行法では、金融機関にオープンAPI整備の努力義務が課されました。改正銀行法の施行により、スクレイピング方式による連携からAPI連携に移行が進み、資産管理アプリの安全性、利便性が高まりました。
キャッシュレス決済の利用が多くなったり、副業等で給与口座を複数もつ人が増えたりと、ライフスタイルや働き方の変化はデジタルの利便性を活かした資産管理アプリにとっては追い風となっています。2023年4月からは給与のデジタル払いが解禁となりました。また、政府は「資産所得倍増計画」のもと、2024年度からの新NISA制度開始、金融教育の強化等の取り組みを行い、人々に投資を働きかけています。
資産管理アプリ事業者は、ユーザーのサービス利用料のほか、広告掲載・送客手数料、金融機関の金融アプリのOEM開発等の収入源があります。新たな収入源として、資産管理アプリの中で蓄積される購買ビッグデータの分析サービスを開始している企業もあります。購買ビッグデータは速報性が高く、公的統計のオルタナティブデータとしてマーケティングや商品開発等の分野で利用価値が高いため、今後の売上の伸びが期待されます。資産管理アプリの需要増加、関連サービスの売上増加によって、資産管理アプリ事業の市場規模は拡大が見込まれます。
本調査では、事業者の資産管理アプリ事業国内売上高を対象に市場規模を算出しました。事業売上高には、ユーザーの利用料のほか、送客手数料、金融機関や事業会社等へのアプリのOEM提供による売上、データ分析売上等を含みます。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
MDB有望市場予測レポートシリーズは、今後、成長が期待できる有望・注目製品/サービス/市場について、MDBが独自取材を実施し、取りまとめたオリジナルレポートになります。MDB有望市場予測レポートの概要はこちらをご覧ください。MDB Digital Searchをご利用いただくとすべての有望市場予測レポートがご覧いただけます。