■風力発電設備市場概況
風力発電設備は、風力を捉え回転するブレード(羽)、ブレードの回転エネルギーを電気に変換する増速機や発電機を格納するナセル、ブレードとナセルを連結するハブ、それらを搭載するタワーから成る風車本体、及び、風車本体を据え付ける基礎構造や、電力変 換設備などの付帯設備で構成されます。風力発電設備は、陸上に設置される陸上風力発電設備と、沿岸や沖合に設置される洋上風力発電設備に大別されます。
これまでに日本国内に設置され、現在稼働している風力発電設備の累計設備容量は約500万kW(5GW)です。国内の全発電電力量に占める風力発電の比率は1%程度です。政府は再生可能エネルギーの比率向上に向けて、風力発電の導入促進のための施策を展開しています。
風力発電は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT制度)の下で2012年に環境アセスメントが義務づけられたことから、評価に時間を要する大規模な発電所では稼働開始時期が後ろ倒しになり、市場拡大のスピードは緩慢でした。2020年頃から環境アセスメントを経た大型案件が相次いで稼働するようになり、市場が本格的な拡大期に入っています。陸上風力発電は、長期的には用地の不足から新設が難しくなりますが、建て替えの時期を迎える発電所が増えていくことから発電設備の需要は堅調に推移すると予測されます。
政府は2030年までに洋上風力発電を10GW、2040年までに30~40GWに拡大する目標を打ち出しています。洋上風力発電の開発を促進するために、2019年には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が施行されました。これにより一般海域で洋上風力発電事業を実施する事業者が入札で選定され、選ばれた事業者には最長30年の海域占用が認められることとなりました。これまでに、長崎県五島市沖、千葉県銚子沖、秋田県由利本荘市沖、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖の4海域について入札が終了しました。2022年12月には、秋田洋上風力発電により秋田県能代市で沖合における日本初の大型洋上風力発電所が稼働を始めました。大規模な陸上風力発電所の稼働開始に加えて、今後洋上風力発電所の建設・稼働が進むことにより、風力発電設備の市場は拡大が見込まれます。
本調査では、電力会社の電力系統と系統連携する陸上風力発電設備及び洋上風力発電設備を調査対象とし、日本において各年度に新たに稼働した風力発電設備の設置費用(機器・材料費の他、施工費を含む費用)を対象に市場規模を算出しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
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