■業務・産業用燃料電池システム市場概況
燃料電池とは、水素と酸素の化学反応により電気を生み出す発電装置です。業務・産業用の燃料電池システムは、工場、商業施設、公共施設、データセンターなどに自家発電設備として、または売電を目的とした発電所の発電設備として導入されるシステムです。
業務・産業用燃料電池システムは、カーボンニュートラルを目指す上での重要な分散型電源の一つとして位置づけられており、各国政府の政策による支援を背景に世界的に市場が拡大していくと見込まれます。
2022年度の市場を国・地域別にみると米国と韓国の占める割合が高く、両国が市場の拡大を牽引している状況です。米国では、燃料電池の導入にあたって投資税額控除(ITC)が受けられます。このITCインセンティブに加え、燃料電池の燃料として使用する国内生産の天然ガスを比較的安価に調達できることから、工場や商業施設、データセンターなどへの燃料電池システムの導入が増加しています。
韓国では2012年から「再生可能エネルギー供給義務化制度(RPS)」が導入され、大規模な発電事業者に対して一定割合の電力を再生可能エネルギー、または燃料電池を含む新エネルギーで代替することが義務づけられました。これにより、発電事業者における燃料電池の導入が急速に進展しました。さらに2022年には、RPSから水素発電を切り離し、水素燃料電池による発電の安定した普及体制構築を目指す「水素発電義務化制度(HPS)」が導入されました。2023年には、電気自動車への充電を目的に、ガソリンスタンドに燃料電池を設置して発電することも認められています。
当面は米国と韓国を中心とした市場の推移が続くと見込まれますが、2030年代以降、技術開発による発電効率の向上や導入コストの低減、生産規模の拡大から普及が加速し、世界的に市場の拡大が本格化すると期待されます。
本調査では、業務・産業用燃料電池システムの世界市場を対象とし、周辺機器や燃料処理装置なども含むシステム全体の出荷金額を対象に市場規模を算出しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
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