
■肥満症治療薬市場概
肥満症治療薬は、食事療法および運動療法などの生活習慣改善のみでは十分な成果が得られない「肥満症」に対して使用される医薬品です。従来、保険適用で処方できる肥満症治療薬は食欲抑制薬が中心でした。食欲抑制薬は投与期間が原則3カ月以内とされ、依存性や肺高血圧症など安全性上の留意点が添付文書に明記されていることから、処方される患者数は限定的でした。
近年では、海外で糖尿病治療薬として開発されたバイオ医薬品が、強い体重減少効果を示したことを背景に、肥満症治療への応用が進みました。これらの薬剤は、消化管ホルモンであるインクレチン(GLP-1、GIPなど)の生理作用を活用し、食欲抑制、満腹感の維持、脂肪代謝の促進などに関与します。
国内では2024年に、ノボ ノルディスク ファーマが「ウゴービ皮下注(一般名:セマグルチド)」を発売し、肥満症治療薬の選択肢が約30年ぶりに拡大しました。さらに2025年に同機能をもつ新たな肥満症治療薬が発売されています。
肥満症治療薬市場は、従来の「食欲抑制薬中心の市場」から、インクレチン作用を活用した「バイオ医薬品による肥満症治療」へと市場構造が大きく転換しています。市場規模は、厚生労働省が示す最適使用推進ガイドラインに基づく適正使用を前提として、2024年の23億円から、2030年には380億円まで成長すると予測しています。
本レポートは、医療用医薬品における肥満症治療薬の国内市場を対象とし、メーカーの出荷金額をベースに市場規模を算出しました。
本調査結果の詳細は、JMARが提供するリサーチプラットフォームMDB Digital Search(https://search02.jmar.co.jp/namdbds/top)に同レポートを収録し、ご提供しております。
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