■樹脂3Dプリンタ市場概況
樹脂3Dプリンタとは、3次元の設計データをもとに樹脂材料を1層ずつ積み上げる積層造形技術によって立体物を造形する装置です。複雑な形状であっても造形が可能で、他の加工工法では複数の装置による追加加工が必要となるような形状でも、樹脂3Dプリンタであれば1台の装置で一貫して造形することが可能となります。金型が不要であるため、開発期間の短縮、コスト削減につなげられること、修正の際も設計データの修正さえすれば比較的容易に造形し直すことができるといったメリットがあります。ただし、樹脂3Dプリンタは造形スピードが遅いというデメリットがあり大量生産には向かないため、試作品の製作など多品種少量生産での活用が中心となっています。
樹脂3Dプリンタの造形方式は1980年代にすでに発明されていましたが、市場は2013年以降に形成され始めました。2013年に米国のオバマ大統領(当時)が一般教書演説において3Dプリンタの活用を表明したこと、積層造形技術の特許切れにより大手プリンタメーカーなどが相次いで参入したことなどから3Dプリンタが注目され、製造業を中心に活用が広まりました。
その後、材料開発の進展、装置改良による造形の精度の向上などを要因に利用が拡大し、特に航空宇宙や自動車、医療といった分野での活用が進んでいます。航空宇宙や自動車の分野では、試作品の製作が中心ですが、最終製品の製作で活用されることもあります。医療分野では、個人差の大きい人体の各部位の形状を再現する必要性から、多品種生産を得意とする樹脂3Dプリンタが、義歯、歯科インプラント、手術ガイド、手術練習用の臓器などの製作に利用されています。
今後も、材料・装置開発の進展や造形精度の向上を背景に、樹脂3Dプリンタで造形できるパーツの種類やユーザー層が広がることで、市場拡大が見込まれます。
本調査では樹脂3Dプリンタの装置本体を対象とし、世界におけるメーカーの出荷金額を対象に市場規模を推計しました。
本調査結果の詳細は、JMAR が提供するリサーチプラットフォーム MDB Digital Searchに同レポートを収録し、ご提供しております。
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