知財と市場情報を掛け合わせ、新たな事業機会を探索
IPランドスケープを支える市場性調査でMDBを活用

合同酒精株式会社
酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ グループマネージャー 西野 徹
酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ リーダー  志風 美帆


合同酒精株式会社は、酒類事業で培った発酵・バイオ技術を基盤に、酵素医薬品事業をはじめとする多角的な事業を展開しています。
同社では、知財とリサーチ機能を統合した「知財・リサーチグループ」を中心に、IPランドスケープの考え方を取り入れながら新規テーマの検討や事業判断を進めています。
今回は、知財部門がどのようにMDBを活用し、事業検討や研究開発の意思決定につなげているのかについてお話を伺いました。

 

 

発酵技術を基盤に広がる酵素医薬品事業

——貴社の事業概要と、お二人のご所属、ならびにミッションについて教えてください。

志風:
合同酒精が属するオエノングループは、1924年に北海道の焼酎会社4社の合併によって誕生しました。現在は「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」という理念のもと、100年以上にわたり事業を展開しています。
売上の中心は酒類事業ですが、近年は酵素医薬品事業の成長も大きく、会社としても重要な事業の一つとなっています。

西野:
酵素医薬品事業は、酒類事業で培ってきた発酵技術を応用する形で、およそ60年前にスタートしました。長年培ってきた発酵技術と製造ノウハウを基盤として、現在では主に食品用途向けの酵素製品を展開しています。
主力製品の一つがラクターゼです。乳糖分解酵素として食品用途などで利用されており、多くのお客様から引き合いをいただいています。また、発酵技術を活かした発酵受託も展開しており、委託製造のご相談も増えていることから、ビジネスの広がりを感じています。
当社製品の特徴の一つとして、多様な宗教への配慮が挙げられます。
食品添加物として使用される酵素は、宗教や文化的な理由から原料に関する基準が設けられている場合があります。当社製品はこうした点に十分配慮しており、さまざまな地域や市場で安心してご利用いただける製品となっています。

研究開発の世界では、技術的に可能であってもすぐに事業化できるとは限りません。安全性評価や各国のレギュレーションへの対応など、さまざまな課題をクリアする必要があります。
そのため現在の主力製品に加えて、将来の事業の柱となる次期製品をどのように見つけていくかが重要なテーマになっています。研究開発と事業性の両方を見ながら、新しい領域に挑戦していくことが求められています。

酵素医薬品事業の主力製品の一つ 「GODO-YNL(ラクターゼ)」

知財と市場情報を組み合わせたIPランドスケープの実践

——調査が必要なタイミング、MDBの利用シーンはどういうときが多いですか。

西野:
私たち知財・リサーチグループの役割は、知的財産を競争優位につなげていくことです。特許を取得するだけでなく、それをどのように事業に活かしていくかが重要だと考えています。

近年はIPランドスケープという考え方が広がり、知財情報を経営判断に活用する取り組みが注目されています。特許情報だけでなく、市場動向や企業の事業戦略、研究開発の動きなどを組み合わせて分析し、将来の事業機会を見極めていく手法です。

特許とマーケティングは近いところにあると考えています。知財の目的は、模倣困難な優位性を確保し、自社が選ばれる状況を構築することにあります。その状態が実現できれば、過度にプッシュ型の営業を行わなくても、顧客や市場の側から引き合いが生まれやすくなります。一方で、マーケティングもまた、継続的に選ばれ、自然に売れる仕組みを設計することが重要です。この、「売れる仕組みづくり」において知財の側面とマーケティングの側面双方から考えることは大切であり、知財・リサーチグループが創られたのは時代に即しているのではないかなと思います。

ただ、比較的短期目線のマーケティングに比べ、特許は権利期間が20年と長く、短期的な視点だけで評価することはできません。どの分野に投資していくのか見当をつけるためには、将来の事業可能性を示す情報が必要になります。

そのため、特許情報だけでなく市場動向や企業活動など、外部環境の情報を収集することが重要な仕事になっています。

 酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ グループマネージャー 西野 徹 様

新規テーマの事業性を見極めるための情報収集

——業務の中で調査が必要になるのはどのようなタイミングでしょうか。

志風:
毎年、社内の提案制度を通じて新しい研究テーマが提案されます。そのテーマを選定する際に、「このテーマに市場性があるのか」という観点で検討する必要があります。そうした場面で、MDBに調査を依頼することがあります。

西野:
既存事業の延長であれば、過去の経験や社内の知見を活用することができます。しかし、新しい領域に踏み出す場合はそうはいきません。社内の情報だけでは判断できないため、外部情報を組み合わせて検討する必要があります。

情報源としては、営業が顧客から得る情報、企業のIR情報、特許情報などがありますが、市場全体の動向を把握するためにはMDBを含めた外部調査による市場調査が欠かせません。
複数の情報を組み合わせて整理することで、将来取り組む価値がある領域なのかを判断する材料にしています。

——MDBが必要なタイミング、MDBの利用シーンはどういうときが多いですか。

西野:
一番は、「本当にこの調査で十分なのか…?」と自信が持てないときですね。

特許については専門分野なので、自分たちで調べ方も把握しています。
ただ、市場動向や海外規制、統計情報といったビジネス寄りの情報になると、慣れていないこともあり、「これで網羅できているのか」「抜け漏れはないか」という不安が残ります。そうしたときは、プロであるMDBに依頼する方が安心だと感じています。

あとは、海外情報ですね。
各国のレギュレーションや統計情報は、サイトの存在が分かっていても、必要な情報に辿り着くのが大変です。そういう自力では取りにくい情報が必要な時はお願いしています。

MDBの情報を研究開発や営業戦略に活用

——実際にMDBをどのように活用されていますか?

志風:
一番多いのは、情報コンサルタントに直接お願いするケースです。
業務が立て込んでいてスピーディーに進めたい場合は、まずメールで依頼をします。
そうすると後からヒアリングしていただけるので、依頼の背景や目的を共有したうえで調査してもらえるのがありがたいです。

海外の調査は、自力で進めるのが難しいと感じることが多いです。どの情報を信頼してよいか、その目利きの部分を情報コンサルタントに支えていただくことで、安心して海外調査を進められています。

一方で、少し時間に余裕があるときや、個人的に興味があるテーマや会議で出てきたキーワードを軽く調べたいときなどは、MDB Digital Searchを使うこともあります。

西野:
ライブラリも必要に応じて活用しています。
高価な資料の中身を確認したいときなどに使います。集中できる環境なので、とてもいいところだと感じています。

酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ リーダー  志風 美帆 様

——MDBから得た情報は、その後どのように展開されることが多いですか?

西野:
新商品開発のテーマであれば、開発担当にフィードバックする、という使い方が多いと思います。
「こういう市場性があります」とか「この国ではこういう動きがあります」といった情報を共有して、検討材料のひとつにしてもらう、という感じですね。

営業部門の場合は、社内でのベース資料、意思決定の材料になることが多いかもしれません。その情報を知っていることで、次の営業アクションに繋げられる、というイメージですね。

迅速な情報提供と相談できるパートナーとしてのMDB

——MDBを使っていて「よかった」、「ありがたかった」と思えることはありますか。

西野:
やっぱり一番は、業務スピードが上がったことですね。それは間違いないです。
困ったらすぐに頼れるアウトソース先があるというのは、本当に助かっています。

志風:
とにかく早いですよね。会議に間に合うように準備していただいているのがわかります。

それから、「とりあえず相談できる」というのも大きいですね。
一人で考えていても、ずっと分からないことってあると思うのですが、そういうときに、まず相談してみよう、という選択肢があるのは心強いです。
特許であれば特許事務所に相談する、という感覚がありますが、それと似たような位置づけかもしれません。

西野:
特に海外情報など、自分たちだけで追うには難しいテーマについては、各社の動向やトレンドを整理していただけるのは助かっています。
あらゆる情報が世の中にある中で、「ここを見ればいいですよ」と信頼できる情報源を示してもらえるのはありがたいです。

調査に時間をかけられない中で、効率よく前に進めるためのパートナー、という感覚ですね。
調査にかかっていた工数を効率化して、その分本業に打ち込むことができます。

研究から商品化までにはどうしても時間がかかりますし、途中でやめるという判断が必要になることもあります。そうした場面では、ある程度客観的な情報や数字がないと、上層部としても判断しづらいと思います。
だからこそ、事業性を見極めるための材料をタイムリーに提供してもらえることに、価値を感じています。

酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ リーダー 志風 美帆 様 / グループマネージャー 西野 徹 様   

発酵技術と知財を活かし、新たな事業展開へ

——最後に、今後の展望についてお聞かせください。

西野:
合同酒精というと「お酒の会社」というイメージを持たれることが多いかもしれません。
酒類事業ももちろん大きな柱ですが、酵素医薬品事業も長年成果を出している当社の強みの一つです。

その背景には、やはりノウハウの蓄積があります。
長年積み上げてきた技術と製造のノウハウ。それを実現している工場の存在は、当社の強みだと認識しています。
大量に安定して酵素を作れる技術基盤は、簡単に真似できるものではありません。

既存の強みを活かしながら、新しい製品や事業につなげていきたいと考えています。
広告や情報発信を通じて認知を高め、結果として特許も活かせる形を作る。
特許を「取る」のはもちろん、「活かす」活動を進めていきたいと思っています。

志風:
合同酒精は、『自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。』という理念を持っています。
酒類事業も酵素医薬品事業も、その理念の延長線上にあります。
これまで培ってきた技術と製造基盤を活かしながら、新しい業界や国にも広げていきたい。
その取り組みを通じて、企業や社会に貢献していければと考えています。


酵素医薬品本部 知財・リサーチグループ  リーダー 志風 美帆 様 / グループマネージャー 西野 徹 様 

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