MDBコラム「ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方~若き論客に学ぶ、という発想 その4~」


<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



イノベーティブなスタートアップ

ビジネスインサイダーにて、2018年7月に紹介された「世界で最もイノベーティブなスタートアップ」に登場する61社がなかなか興味深い顔ぶれである。
ちなみに、この61社を選出したのは、世界経済フォーラム(WEF)である。どのような基準による選出なのかは非常に気になるところだ。

■<日本語版>
 URL:https://www.businessinsider.jp/post-170705

■<英語版>
 URL:https://www.businessinsider.com/most-innovative-startups-world-economic-forum-2018-6

 業種で見る、国籍で見る、経営者で見る、どの視点から見ても、面白いリストだと感じる。ただ悲しいかな、日本企業は入っていない…。高ポテンシャル企業が最近増えてきたとは思うのだが…。国籍別に見ると、アメリカが半分弱を占め、それをイスラエル、イギリスが追っているという構図だ。イスラエルの健闘ぶりは目立つ。日本企業も参考にすべきポイントが多い。

 アフリカの会社が3社入っていることも(うち2社はケニア)、特筆事項だと思う。ケニアの会社はいずれもファイナンス系である。我々が気づいていない金融ビジネスの新たなトレンドは、実は時空を超えてアフリカから生まれるかもしれない。業種で見た場合、AI、ICT関連、食・バイオ分野が目立つことも、このリストの特徴といえよう。
 皆様も、自社ビジネスに活かすという観点から、是非眺めてみてほしい。この「眺めて考える」というステップは結構重要だ。時代の予兆とスタートアップを結びつけるという感覚は(既にそうしている方も多いかもしれないが)研ぎ澄ませていきたいものだ。

 スタートアップの経営者の中にこれから注目すべき論客が隠れていることがままある。61名のCEOの中にこれからのビジネスヒントを与えてくれるキーパーソンがいるのでは、と実は睨んでいる。イスラエルの経営者が特に面白いと考えるのは私だけであろうか?

 スタートアップを見る際には、以下視点は当然必要である。

・これまでなかったビジネスや大企業の間隙をぬったビジネスをどう見つけているのか
・それが分野としてはどこが多いのか、どこに集まるのか

 有力スタートアップを紹介する情報源はこれからも数多く出てくる。日本企業が多く登場する時代になることを願いながら、新たなヒントの会得に役立てていただきたい。


気になる指標を持つことの重要性

 ビジネストレンドを把握する際に、自分としての注目指標を持っておくことはかなり重要だと考えている。情報に翻弄されないためにも、自分の物差しづくりの一環としてお勧めしておきたい。

 あくまでも一例だが、前述の世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表している以下ランキングも毎年関心を持って見ている指標の1つとなる。

■「The Global Competitiveness Report」(国際競争力ランキング)
 URL:http://www3.weforum.org/docs/GCR2017-2018/05FullReport/TheGlobalCompetitivenessReport2017%E2%80%932018.pdf

 ※よく国のレポートにも転載されている(以下は経済産業省の報告書)
 URL:http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon/a17_2_4.pdf

 香港が上昇トレンドにあるその背景には何があるのか?どのような企業が元気が良いのか?といった感じで考えるようにしている。

 今後も注目指標を随所で紹介していく予定である。


次回予告

さて、今回はここまで。次回以降も、方法論を含めた論客探しの旅はまだまだ続く。注目情報源とともにお届けしたい。乞うご期待!

菊池 健司
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー。1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。

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