
代替肉の市場規模は?市場動向の調べ方を徹底解説!
世界では、人口増加や気候変動によって、従来の畜産によるタンパク質供給が限界を迎えつつあり、「タンパク質危機(プロテインクライシス)」への対策として、多様な代替タンパク質の研究と実用化が進んでいます。サステナブルな食糧生産の重要性が一層高まるなか、「代替肉」は加工食品メーカーによる新製品の投入や、外食・小売業界での本格導入が進み、すでに一部では定着しつつあります。
当コラムでは、認知度が向上している代替肉に関する最新マーケット情報と、その収集方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.代替肉の普及状況
- 2.代替肉の業界動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.専門業界誌・調査会社等
- 2.3.2.主力企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.代替肉市場を知るためのおすすめ情報源3選
- 3.1.おすすめ情報源① プロテインクライシスを救う「代替タンパク源生産技術・市場」の最新トレンド
- 3.2.おすすめ情報源② 代替肉の技術と市場
- 3.3.おすすめ情報源③ 2025年プラントベースフードのR&D動向調査
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
代替肉の普及状況
代替タンパクとは、代替肉、代替乳、代替魚介、代替卵、培養肉、培養魚肉、昆虫食・昆虫飼料、微細藻類などが対象となります。
2024年の国内の代替タンパクの市場規模は、1,239億円となりました。2025年以降、代替乳や微細藻類の需要が拡大し、2030年の市場は1,473億円と予測されています。
代替肉は一部製品の終売で低迷していますが、インバウンド需要による業務用拡大や新製品投入により、2026年以降は回復が見込まれています。
出所)富士経済 食の未来を創造するサスティナブルフード市場の最新トレンドと予測 2025
代替肉の業界動向の調べ方は?
次に、代替肉の業界動向や主要プレーヤー情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
代替肉の業界情報で重要な市場規模、規制動向、技術動向等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②官公庁・業界団体発表資料から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「代替肉 市場規模」、「代替肉 市場予測」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。
例えば、農林水産省HPにおける予算事業に関するページでは、「新たな種類のJAS規格調査委託事業」にて、令和元年度報告書中に代替肉メーカーの商品例が掲載されており、既に進出している商品メーカーを確認することが可能です。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
官公庁
農林水産省では代替肉に関する基準整備を進めており、2022年2月には、大豆由来の代替肉「大豆ミート」に関して、動物性原材料を一切使用せず、大豆タンパク質の含有率を10%以上とすることなどを定めた日本農林規格(JAS規格)が新たに制定されました。現在ではこの基準に基づく製品表示が浸透し、消費者にとっても選びやすい環境が整いつつあります。また、農林水産省はフードテックの推進にも注力しており、官民連携の場として「フードテック官民協議会」を立ち上げています。
業界団体
培養肉に関する業界団体として、特定非営利活動法人日本細胞農業協会が挙げられます。「フードテック官民協議会」への政策提言を行っているほか、一般消費者を対象に2021年2月に「細胞農業・培養肉に関する意識調査」を実施しています。意識調査では培養肉について期待すること、心配なことについて設問が設けられており、前者では「味がおいしいこと」が、後者では「食の安全性が担保されているか不安」がトップの回答割合となっています。
業界専門情報から調べる
専門業界誌・調査会社等
代替肉市場に関する市場調査資料は現在も様々な調査会社から市場動向・技術動向をまとめた資料が発刊されています。例えば、富士経済「食の未来を創造するサスティナブルフード市場の最新トレンドと予測 2025」では、最新動向と、今後の市場拡大に向けて注目される技術開発やアライアンス動向、2030年までの将来予測を分析しています。
主力企業情報
大豆由来の人工肉「ミラクルミート」を開発するスタートアップ「DAIZ」は、2025年現在も食品メーカー・外食チェーンへの販売を積極的に展開し、コンビニエンスストア向け商品にも採用を広げています。2023年にはセブン-イレブン・ジャパンの新シリーズ商品『みらいデリ』に「ミラクルミート」が採用され、台湾のモスバーガーへの原料供給により海外市場にも初進出しました。東洋製罐グループは2022年1月にDAIZに出資し、さらに2023年には仏Roquette社との資本業務提携も締結されており、食品分野にとどまらない企業提携やグローバル展開も注目されています。
海外では米国発の「Beyond Meat(ビヨンド・ミート)」が引き続き急成長をみせています。Beyond Meatはアジア市場への進出に力を入れ、スターバックス中国やピザハット、KFCなど外食チェーンで製品提供を展開してきました。2022年には日本の大手スーパーと提携して国内市場にも参入し、アジア各国を含むグローバル展開を進めています。一方で2025年には収益改善のため中国事業の一時停止と人員削減を発表しており、戦略の見直しを図りつつ今後も世界各地への展開が見込まれます。
「Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)」も米国で急成長を遂げ、オーストラリア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦、カナダなど計7か国への展開からさらに市場を拡大しています。2022年にはイギリスに進出して欧州市場に初参入を果たすなど、シンガポールを含む複数の国で商品提供を開始しました。主要市場での販路拡大に加え、欧州連合(EU)への進出準備も進められており、代替肉のカギとなる発酵由来ヘム成分について欧州当局の安全性承認を取得しつつあります。今後も世界各地への展開が見込まれます。
米国の「MycoTechnology(マイコテクノロジー)」社は、2022年1月開催の世界的技術展示会「CES 2022」でエンドウ豆と米のタンパク質をシイタケ菌糸体で発酵させた常温保存可能な代替肉を発表し、フードテック分野で注目を集めました。当初は発酵技術を用いた代替肉開発で脚光を浴びましたが、その後は自社の発酵技術によるフレーバー改良や甘味料開発に注力する戦略へと軸足を移しています。
代替タンパク質需要の高まりを背景に、世界各地で新技術の研究開発競争が激化しており、官民双方からの注目と資金が集まって業界全体が引き続き活況を呈しています。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先に紹介した方法で期待する粒度の情報が入手できなかった場合、また情報が多すぎて取りまとめるのが難しい場合には、市場調査会社にアドホック調査を依頼するという選択肢もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通してオリジナルな情報を収集し報告する形式をとっており、一般では取得が難しい情報にリーチできる可能性があります。
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代替肉市場を知るためのおすすめ情報源3選
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様から代替肉市場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「代替肉市場」に関するおすすめ情報源を3つ紹介いたします。
おすすめ情報源① プロテインクライシスを救う「代替タンパク源生産技術・市場」の最新トレンド
「プロテインクライシスを救う「代替タンパク源生産技術・市場」の最新トレンド」 富士経済
代替肉をはじめとした、植物系、藻類系、昆虫系、微生物発酵系、細胞培養系の代替タンパク源に関する最新の技術開発動向や市場規模予測、主要企業の事業展開を網羅した調査レポートです。注目企業15社の詳細分析や、世界270社の基礎情報も収録されており、代替タンパク質市場の全体像と将来展望を把握するのに有用です。
おすすめ情報源② 代替肉の技術と市場
代替肉の技術と市場 シーエムシー出版
植物性タンパク質、微生物発酵、培養肉などの代替肉技術の最新動向を網羅し、関連メーカーの増加や投資拡大の状況を解説した専門書です。食料問題や環境負荷軽減の観点から、代替肉の研究開発の情報や、市場展望の情報がご確認いただけます。
おすすめ情報源③ 2025年プラントベースフードのR&D動向調査
2025年 プラントベースフードのR&D動向調査 -PBF独自の価値創造へ向けた研究開発がポイント- TPCマーケティングリサーチ
日本のプラントベースフード市場における研究開発の現状と課題、今後の方向性について記載されているレポートです。国内外の特許分析を通じて技術動向や企業の注力領域を把握し、競合の戦略を見極めることが可能です。さらに、消費者ニーズに基づいた研究テーマを「アイデアマトリクス」で整理し、新たな製品開発や差別化戦略のヒントを提示しています。研究投資や技術提携の判断材料としても活用できます。
まとめ
今回は、代替肉の業界動向の調べ方について解説しました。有望市場として盛んに代替肉が取り上げられますが、実のところ資料によって定義が様々あり、自分の欲しい情報と条件があう情報を精査するにはなかなか骨が折れます。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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