代替肉の市場規模は?市場動向の調べ方を徹底解説!
今、世界では人口増加に伴うタンパク質需要と畜産供給のバランスが崩れる「タンパク質危機」(プロテインクライシス)へ備えるべく、多様なタンパク質供給について研究が進んでいます。サステナブルな食糧生産への取組みが進むなか、「代替肉」は、加工食品メーカーによる製品開発や外食産業へのメニュー導入が話題となり、注目を集めています。
当コラムでは、認知度が向上している代替肉に関する最新マーケット情報と、その収集方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.代替肉の普及状況
- 2.代替肉の業界動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.専門業界誌・調査会社等
- 2.3.2.主力企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.代替肉市場を知るためのおすすめ情報源3選
- 3.1.おすすめ情報源①「各国における食肉代替食品の消費動向」
- 3.2.おすすめ情報源② Good Food Institute
- 3.3.おすすめ情報源③「2030年のフード&アグリテック -農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70-」 野村アグリプランニング&アドバイザリー
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
代替肉の普及状況
代替肉とは、畜産物の食肉に代わる製品として、本物の肉の食感、風味、外観などを人工的に再現した加工食品であり、豆などの植物由来、マイコプロテインなどの微生物由来の組織を使用して作る「人工肉」と、動物の細胞を培養して作る「培養肉」に大別できます。
MDB有望市場予測レポートでは2023年度の世界の人工肉市場は約1,500億円と推計しています。従来、人工肉はベジタリアンを想定した製品が販売されてきましたが、畜肉と比較して高タンパク低コレステロールで健康に対する悪影響が少ない点、環境負荷が低い点が訴求され、一般の消費者への販売も拡大しています。
出所)株式会社日本能率協会総合研究所 MDB有望市場予測レポート「人工肉」 (2019)
代替肉の業界動向の調べ方は?
次に、代替肉の業界動向や主要プレーヤー情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
代替肉の業界情報で重要な市場規模、規制動向、技術動向等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②官公庁・業界団体発表資料から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「代替肉 市場規模」、「代替肉 市場予測」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。
例えば、農林水産省HPにおける予算事業に関するページでは、「新たな種類のJAS規格調査委託事業」にて、令和元年度報告書中に代替肉メーカーの商品例が掲載されており、既に進出している商品メーカーを確認することが可能です。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
官公庁
農林水産省では代替肉に関する基準作りを急速に進めており、2021年12月には大豆由来の代替肉「大豆ミート」について、動物性原材料を一切使用せず、大豆タンパク質の含有率を10%以上とすることなどを定める日本農林規格(JAS)制定への動きをみせています。また、「フードテック官民協議会」を立ち上げており、2021年8月にwebメディア「FOOD TECH Lab」を開設しています。現在はフードテックに係るメディア掲載の紹介が中心となっており、代替肉を使用した商品発売や、代替タンパクとして注目が続く昆虫食の開発動向に関する企業プレスリリースを確認できます。
業界団体
培養肉に関する業界団体として、特定非営利活動法人日本細胞農業協会が挙げられます。「フードテック官民協議会」への政策提言を行っているほか、一般消費者を対象に2021年2月に「細胞農業・培養肉に関する意識調査」を実施しています。意識調査では培養肉について期待すること、心配なことについて設問が設けられており、前者では「味がおいしいこと」が、後者では「食の安全性が担保されているか不安」がトップの回答割合となっています。
業界専門情報から調べる
専門業界誌・調査会社等
代替肉市場に関する市場調査資料は現在も様々な調査会社から市場動向・技術動向をまとめた資料が発刊されています。例えば、富士経済「「プロテインクライシス」を救う「代替タンパク源生産技術」の最新トレンド」では、海外企業を中心に代替肉の開発ステージや生産フローをまとめています。
主力企業情報
大豆由来の人工肉「ミラクルミート」を開発するスタートアップ「DAIZ」は、食品メーカー・外食チェーンへの販売を積極的に展開しています。東洋製缶は、2022年1月に保存容器の共同開発でDAIZに出資しており、食品分野にとどまらない企業提携も今後の注目です。
海外では米国で「Beyond Meat」・「Impossible Foods」の2社が急成長をみせています。「Beyond Meat」はアジア市場への進出に力を入れており、すでに中国のスターバックスに製品提供しています。「Impossible Foods」はオーストラリア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦、カナダなど計7ヵ国に進出しており、今後も世界各地への展開が見込まれます。
また、2022年1月に開催された世界有数の技術展示会「CES 2022」では「フードテック」カテゴリーが新設され、米国「MycoTechnology」がエンドウ豆と米のタンパク質をシイタケの菌糸体で発酵させた、常温保存可能な代替肉を発表しました。代替タンパク質への高まる需要に伴って世界で研究開発が繰り広げられており、活況を呈しています。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先に紹介した方法で期待する粒度の情報が入手できなかった場合、また情報が多すぎて取りまとめるのが難しい場合には、市場調査会社にアドホック調査を依頼するという選択肢もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通してオリジナルな情報を収集し報告する形式をとっており、一般では取得が難しい情報にリーチできる可能性があります。
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代替肉市場を知るためのおすすめ情報源3選
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様から代替肉市場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「代替肉市場」に関するおすすめ情報源を3つ紹介いたします。
おすすめ情報源①「各国における食肉代替食品の消費動向」
「各国における食肉代替食品の消費動向」 農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001675.html
農畜産業振興機構にて、世界8か国を対象に実施された植物由来の代替肉食品への消費者アンケート調査結果が公開されております。食肉代替食品は味や食感、消費者からの理解・受容などの課題を抱えながらも、ミレニアル世代や高所得者層、主要地域などを中心に関心が高まっていると結論づけています。
おすすめ情報源② Good Food Institute
Good Food Institute
https://gfi.org/marketresearch/
米国における食肉代替食品の普及を目指す非営利団体が、米国の小売における植物由来食品の売上高を調査しています。WEB上で公開されているレポートによれば、年々消費者の関心は高まっており、植物肉の売上高が好調であることを示しています。
おすすめ情報源③「2030年のフード&アグリテック -農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70-」 野村アグリプランニング&アドバイザリー
2030年における植物肉・培養肉の市場規模を独自に算出しているほか、関連企業の特徴・ビジネスモデルを掲載しています。代替肉にて先行している海外企業も紹介されており、市場概要を簡単に把握できる点でおすすめです。
まとめ
今回は、代替肉の業界動向の調べ方について解説しました。有望市場として盛んに代替肉が取り上げられますが、実のところ資料によって定義が様々あり、自分の欲しい情報と条件があう情報を精査するにはなかなか骨が折れます。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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