
ドローンの業界環境は?市場動向の調べ方を徹底解説!
技術開発が進み、空飛ぶロボットとしてビジネス開拓が活発なドローン。ドローン業界向けに既に事業を展開している方、ドローン業界向けの新ビジネスをこれから検討される方は、ドローンの今後の普及見通しや市場規模など最新の市場動向を把握するための情報収集を積極的にされているのではないかと思います。
当コラムでは、そのようなビジネスパーソン向けに、ドローンに関する最新マーケット情報と、その収集方法について、解説します。
目次[非表示]
- 1.ドローンの普及状況
- 2.ドローンの業界動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.専門業界誌・調査会社等
- 2.3.2.主力企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.ドローン市場を知るためのおすすめ情報源3選
- 3.1.次世代空モビリティ 経済産業省
- 3.2.Japan Drone 一般社団法人日本UAS産業振興協議会主催
- 3.3.『2024年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編』 富士経済 2024.1
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
ドローンの普及状況
ドローンとは、遠隔操作や自律制御での飛行が可能な無人の小型航空機であり、クワッドコプター、マルチコプターなどの総称になります。無人機、無人航空機、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とも呼ばれます。小型の無人潜水艦や無人ボートをドローンに含めることもありますが、一般にドローンは無人の小型航空機を指します。
日本国内におけるドローンの普及状況は、国土交通省が発表する「無人航空機飛行に対する許可承認申請件数」から窺い知ることができます。2015年12月に改正航空法が施行され、ドローンやラジコン機等の無人航空機の飛行ルールが導入されました。無人航空機の飛行については国土交通省にて許可承認が行われています。
出所)国土交通省 無人航空機飛行に係る許可承認申請件数の推移 よりMDB作成
国内における無人航空機飛行に対する申請件数は2022年度に過去最高の約91,000件を記録、2023年度は約81,000件だったものの、2015年の法改正から増加傾向が続いています。
2023年度の申請件数が下がった理由としては、航空法施行規則の改正に伴い、2022年6月20日以降、本体の重量とバッテリーの重量の合計100g以上の無人航空機の機体登録が義務化され、登録されていない無人航空機を飛行させることはできなくなったことが挙げられます。運用上の安全性向上のため、航空法の対象外であった重量合計200g未満のドローンが、無人航空機として航空局の管理下に入り、申請件数が減少しました。
ドローン普及をめぐる環境は刻一刻と変化しているため、国土交通省をはじめとした官公庁発表は必ずおさえておきましょう。
ドローンの業界動向の調べ方は?
次に、ドローンの業界動向や主要プレーヤー情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
ドローンの業界情報で重要な市場規模、規制動向、技術動向等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②官公庁・業界団体発表資料から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「ドローン 市場規模」、「ドローン 市場予測」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。
例えば、インプレス総合研究所発表「ドローンビジネス調査報告書2024」では、機体・サービス・周辺サービスの3市場を含めた産業用ドローン市場規模を2028年度分まで予測されています。詳細は書籍の購入が必要ですが、無料のリリース情報でも市場概要の把握は可能です。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
官公庁発表資料ではドローンの規制状況、業界団体による業界誌では機体の技術動向について確認できます。
官公庁の情報源
国土交通省では「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール 」という特設HPを設けており、飛行ルール・ガイドライン・審査要領をまとめています。
業界団体
業界団体のうち、一般社団法人日本UAS産業振興協議会では「Technical Journal of Advanced Mobility」を発行しており、ドローンを中心とした次世代移動体についての寄稿論文をWEB上で確認できます。また、書籍でまとめている例では、先端ロボティクス財団の「日本ドローン年鑑」が挙げられ、各機体メーカーに独自のアンケート調査を行った結果や、製造するドローン製品の諸元を掲載しています。
業界専門情報から調べる
専門業界誌・調査会社等
ドローンビジネスに関する市場調査資料では、やはり上述したインプレス発行の「ドローンビジネス調査報告書」が著名であり、官公庁発表資料にも引用されています。機体・サービスの両方についてインプレスでは他にも「ドローンジャーナル」というニュースサイトを運営しており、関連ニュースをWEB上で確認できます。
主力企業情報
ドローンの機体市場シェアでは中国メーカーのDJIが大きなシェアを占めており、価格面・機体制御の安定性において優位性を持っています。
一方で、政府調達におけるドローンのセキュリティリスクへの対応が発表されたことを受け、公的な用途における国産メーカードローンの需要に期待がかかっています。
ドローン専業メーカーとしては国内唯一の上場企業であるACSLは、高性能・高セキュリティな小型ドローンの開発を目的とした、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募の「安全安心なドローン基盤技術開発」事業によって、セキュアな小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を開発しました。SOTENは日本政府が開発を支援した成果を活用し、量産化までたどり着いた初めてのドローンとして、2021年12月から現在に至るまで改良を続けながら販売されており、2023年からはアメリカ市場への本格進出も始めています。
また、2015年に設立されたスタートアップ企業、プロドローンは、国内メーカーとしてはトップの特許出願数を誇り、あらゆる用途で高いカスタマイズ性を持ったドローンを提供できる技術力が注目されています。
ドローン専業以外のメーカーとしては、産業用無人ヘリコプターによる農薬散布事業において30年以上の実績があるヤマハ発動機にも注目です。同社は、2022年に農業系ドローンなどを提供するブラジルのスタートアップ企業ARPACを買収するなど、さらなる農業向けビジネス強化の動きを見せています。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先に紹介した方法で期待する粒度の情報が入手できなかった場合、また情報が多すぎて取りまとめるのが難しい場合には、市場調査会社にアドホック調査を依頼するという選択肢もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通してオリジナルな情報を収集し報告する形式をとっており、一般では取得が難しい情報にリーチできる可能性があります。
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ドローン市場を知るためのおすすめ情報源3選
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様からドローン市場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「ドローン市場」に関するおすすめ情報源を3つ紹介いたします。
次世代空モビリティ 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/airmobility.html
経済産業省にてドローンや空飛ぶクルマといった次世代空モビリティに関する検討会が行われています。「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」の取りまとめを行ったほか、ドローン活用事例集の発表、ドローン関連企業への実態調査を行っており、今後も見逃せない情報源になるでしょう。
Japan Drone 一般社団法人日本UAS産業振興協議会主催
https://ssl.japan-drone.com/index.html
参入プレーヤーを把握する一つの手段として、関連する展示会への出展動向を確認するといった方法もあります。日本で開催している展示会のうち、Japan Droneは民間ドローンを専門とした展示会となっています。
『2024年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編』 富士経済 2024.1
各種サービスロボット×有望アプリケーション別(11業種)の市場分析に加え、サービスロボットの多機能化を実現する周辺機器・設備やシステムとの連携動向を取りまとめています。本書の中で「ドローン・無人ヘリ」についても市場規模・予測(2030年まで)、国内外における企業動向、シェア、技術動向などがまとめられており、ドローン市場を知るうえではチェックしておきたい資料となります。
まとめ
今回は、ドローンの業界動向の調べ方について解説しました。有望市場として盛んにドローンが取り上げられますが、実のところ資料によって定義が様々であり、自分の欲しい情報と条件があう情報を精査するにはなかなか骨が折れます。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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