水素の市場規模は?市場動向の調べ方を徹底解説!
使用してもCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目度が高まる水素。
水素はこれまで石油精製などの工業用途で利用されてきました。しかし、脱炭素社会の実現を目指し、燃料電池や水素発電などエネルギー用途への利用拡大が国内外で活発化しています。こうした盛り上がりを背景に、水素の普及見通しや市場規模など、最新の市場動向を把握しようと情報収集を行う人が増えています。
当コラムでは、そのようなビジネスパーソン向けに、水素に関する最新マーケット情報と、その収集方法について、解説していきます。
目次[非表示]
- 1.水素の市場規模
- 2.水素の市場動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.専門業界誌・調査会社など
- 2.3.2.個別企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.水素市場を知るためのおすすめ情報源3選!
- 3.1.おすすめ情報源① 「水素利用市場の将来展望」
- 3.2.おすすめ情報源② 「水素利用技術集成 -炭素循環社会に向けた製造・貯蔵・利用の最前線-」
- 3.3.おすすめ情報源③ 「2024 Global Hydrogen Review」
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
水素の市場規模
まず、現状の水素市場がどのようになっているのか、国内の生産量を調べました。
経済産業省生産動態統計によると、2023年における水素の生産量は5億1,357万8,000m3でした。
出所)2023年 経済産業省生産動態統計 経済産業省
現在の水素の消費は、石油精製をはじめとして自家消費されることが多いです。そのため、エネルギー用途や、半導体、化学工業などに外販される量は少ないと見られています。ここ数年の水素の生産量の減少は、石油製品の生産量減少が一因であると考えられます。
一方で、経済産業省資源エネルギー庁が2024年9月に公表した「水素を取り巻く国内外情勢と水素政策の現状について」では、2050年のカーボンニュートラルに向けて、水素等(アンモニア、合成メタン、合成燃料含む)が様々な用途での活用が期待されている旨、記されています。また、2024年10月に「水素社会推進法」が施行され、水素に対する2030年度からの日本の支援として、既存原燃料との価格差に、水素の供給開始から15年間で総額3兆円規模の支援を予定しています。それらの取り組みにより、中長期的には水素市場の伸長が見込まれています。
国際エネルギー機関(IEA) が発行している「Net-Zero Roadmap」(2023)においても、世界の水素需要量は産業分野、モビリティ分野、発電分野を中心に伸びるとされ、2050年には、世界の水素需要量が2022年と比べて約5倍に増えることが示唆されています。
▼下記の資料では「情報収集の基本セオリー」を解説しています!
水素の市場動向の調べ方は?
次に、水素の市場動向や主要プレイヤー情報、今後の市場予測情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
水素のマーケット情報で重要な市場規模、企業シェア・予測等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②統計情報から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「水素 市場規模」、「水素 市場予測」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。これらの情報を見ることで大きな潮流はどなたでも把握できると思います。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
信頼できる情報源としては、第一に国の統計があげられます。その次に業界の企業が加盟している業界団体の情報です。該当の統計があれば、そこで市場規模の情報が入手できます。
インターネット等で、水素に関連する業界団体や関連の官公庁サイトを探し、統計情報があるかを確認、その中に水素の情報があるかを調べます。
官公庁・国際機関
先ほどご紹介した経済産業省の生産動態統計のほか、経済産業省の経済構造実態調査でも水素ガスの出荷数量や出荷金額が掲載されています。
また、経済産業省が設置した水素・燃料電池戦略協議会では、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定し、燃料電池自動車や水素ステーションの普及目標を定めています。
業界団体
水素に関連する国内の業界団体としては、まず産業ガスに関する業界団体である日本産業・医療ガス協会が挙げられます。同協会では、日本国内における圧縮水素の出荷実績の推移を公表しています。また、水素のエネルギー利用に関わる業界団体も多数存在しており、水素エネルギー協会、水素供給利用技術協会、水素バリューチェーン推進協議会のほか、燃料電池実用化推進協会があります。
世界規模の団体としては、水素協議会(Hydrogen Council)があります。水素協議会は2017年1月のダボス会議で発足した国際的な水素普及のための団体です。世界の大手自動車メーカーやエネルギー関連企業が多数参画しており、水素の動向に関するレポートや記事を公表しています。
業界専門情報から調べる
専門業界誌・調査会社など
エネルギーや工業についての専門業界紙誌で水素の情報を検索するという方法もあります。
「日刊工業新聞」や「化学工業日報」といった新聞、「環境ビジネス」や「新エネルギー新報」といった雑誌では、水素に関連する企業の取り組みや政策動向に関するニュースが見つかります。また、燃料電池・水素エネルギーに特化した「週刊燃料電池『Fuel Cell Weekly』」という資料もあります。
業界紙誌以外にも、調査会社が発刊する調査レポートもあります。
例えば、ガスレビューは産業ガスを専門とする調査会社です。同社が発行する「ガスジオラマ」では、水素、水素発生装置、水素ステーションに関するマーケット情報が掲載されています。
富士経済などの調査会社も水素に関連する調査レポートを発刊しています。市場規模や予測だけでなくマーケット情報全般が網羅的に把握できます。価格相場は1冊数万円~数十万円するものまでさまざまですが、その分野に特化して取りまとめられていますので、購入を検討されてもよいかもしれません。
個別企業情報
話題になっている企業のサイトや、決算発表情報の内容を確認すると、有用な情報が記載されていることがあります。
例えば、岩谷産業が公表した「2024年度インベスターズガイド(事業概況)」では、日本国内の水素販売数量の推移が掲載されています。同社は液化水素の製造・運搬を日本国内で行うなど、水素の国内トップサップライヤーです。同社の中期経営計画(2023年度~2027年度)ではテーマとして「水素エネルギー社会の実現にむけて」を掲げており、今後も日本の水素業界を牽引していくことが見込まれます。同社が公表するIR資料やニュースリリースを確認することは、水素市場の動向を把握するうえでも参考になるでしょう。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先にご紹介した方法で期待する情報にたどり着くことができなかった場合、また、情報量が多く、取りまとめることが難しい場合、市場調査会社に依頼をするという方法もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通して独自の情報を収集し報告する形式をとっており、より深い情報を取得したい場合に有効な手段になります。
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水素市場を知るためのおすすめ情報源3選!
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様から水素市場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「水素」に関するおすすめ情報源を3つご紹介します!
おすすめ情報源① 「水素利用市場の将来展望」
富士経済
富士経済が発刊している水素関連市場に関する調査レポートでは、水素エネルギーの利用や、水素輸送・供給に使用される関連設備・機器の市場現状を分析しています。 最新の2024年版では、新規プロジェクトが相次ぐ水素製造、早急な整備が求められている水素インフラ、本格普及を目指し開発が進む水素アプリケーションなど、水素社会実現の鍵となる28の品目についての市場実態を調査、さらに2040年までの市場展望が記載されています。
おすすめ情報源② 「水素利用技術集成 -炭素循環社会に向けた製造・貯蔵・利用の最前線-」
エヌ・ティー・エス
水素の製造・利用に関して、専門的、技術的な解説がまとめられた一冊です。最新動向の紹介から始まり、触媒開発、製造技術、利用技術等、8章に分かれています。各章ごとに複数の節に分かれ、水素利用における技術的な側面が詳細に論じられています。
おすすめ情報源③ 「2024 Global Hydrogen Review」
IEA
本書は、国際エネルギー機関(IEA)が毎年発行するレポートであり、水素の生産、需要、インフラ整備、貿易など、グローバル市場における水素関連の動向を詳述しています。このレポートは、2018年から開催されている「水素閣僚会議」の一環として作成されており、最新の2024年版では、特にラテンアメリカにおける水素プロジェクトの進捗状況や動向が分析されています。
まとめ
今回は、水素の市場動向の調べ方について解説しました。カーボンニュートラル実現にむけ水素の導入拡大に向けた取り組みが世界中で進められていますが、この分野は動向を把握するために多くの情報を見ていく必要があります。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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