ECの市場規模は?市場動向の調べ方を徹底解説!
近年、市場拡大が進んでいるEC(=電子商取引、以下ECに統一)業界。インターネットやスマートフォン普及の影響で、EC市場は拡大を続けており、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりの影響で、その需要はさらに加速しています。
今回は、そんな大注目の『EC業界』に関する最新マーケット情報と、その収集方法について、解説していきたいと思います!
目次[非表示]
- 1.ECの市場規模
- 1.1.BtoCのEC市場規模
- 1.2.CtoCのEC市場規模
- 1.3.BtoBのEC市場規模
- 2.ECの市場動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.専門業界誌・調査会社等
- 2.3.2.主力企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.EC市場を知るためのおすすめ情報源3選
- 3.1.令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書 -デジタル取引環境整備事業- 経済産業省 2023.8
- 3.2.通販・e-コマースビジネスの実態と今後2023 富士経済 2023.4
- 3.3. 第41回 通信販売企業実態調査報告書 -レポート日本の通信販売- 日本通信販売協会 2023.11
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
ECの市場規模
まず、現状のEC業界の状況がどのようになっているか、EC業界をいくつか分類分けして市場規模をみていきましょう。
令和5年8月に発表された、経済産業省の『令和4年度 デジタル取引環境整備事業 (電子商取引に関する市場調査 )』では、国内のEC市場について「BtoC(消費者向け)」、「CtoC(個人間)」、「BtoB(企業間)」と大きく3つに分けて市場規模が推計されています。それぞれみていきましょう。
BtoCのEC市場規模
2022年のBtoC-EC市場規模は22兆7,449億円となり、対前年比2兆499億円の増加となりました。
出所)経産省 令和4年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)
さらに内訳を見ていくと物販系(食品や化粧品、家電、衣類など「物」を対象とする分野)は13兆9,997億円で前年比7,132億円の増加。
サービス系(旅行、チケット販売など)では前年比1兆5,053億円増の6兆1,477億円となり、コロナ禍による外出自粛が緩和され、サービス系の市場拡大が大きな要因となり、全体の市場規模増加に影響を及ぼしていることが分かります。
一方、デジタル系(電子書籍、音楽、動画、オンラインゲームなど)は2兆5,974億円で前年比1,687億円の減少となっており、上述したサービス系とは反対に、ステイホーム緩和の影響が見られます。
CtoCのEC市場規模
CtoC-EC市場は、フリマアプリやネットオークションが対象となる市場です。2022年の市場規模は、2兆3,630億円で、前年比6.8%と拡大を見せました。特にフリマアプリ市場は急速拡大を続けており、CtoC-EC市場全体を押し上げている結果となりました。拡大の要因としてはやはりコロナ禍におけるステイホームの増加をきっかけに、人々の暮らしの中で市場を確立したことが大きいとみられます。
BtoBのEC市場規模
国内BtoB-ECの市場規模は2022年で420兆2,354億円(前年比12.8%増)となりました。EC化率は各業界で大幅に増加傾向にあり、今後もさらにECによる商取引が拡がっていくことが予想されます。
ECの市場動向の調べ方は?
次に、ECの業界動向や主要プレーヤー情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
ECの業界情報で重要な市場規模、規制動向、技術動向等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②官公庁・業界団体発表資料から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「EC 市場規模」、「EC 市場予測」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。これらの情報を見ることで大きな潮流はどなたでも把握できると思います。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
信頼できる情報源としては、第一に国の統計があげられます。その次に業界の企業が加盟している業界団体の情報です。該当の統計があれば、そこで市場規模の情報が入手できます。
インターネット等で、EC、電子商取引、通信販売などのキーワードで業界団体や関連の官公庁サイトを探し、統計情報があるかを確認、その中にECの情報があるかを調べます。
官公庁の情報源
ECに関する調査ですと、本ブログの2章でも引用している経産省の『令和4年度 デジタル取引環境整備事業 (電子商取引に関する市場調査)』が主な情報源としてあげられます。各ビジネスモデルや業界ごとのEC市場規模・動向についてまとめられており、非常に使いやすい情報源となっております。
その他情報源としては、総務省の『2019年全国家計構造調査』も見ておくべき情報源です。
上述した経産省の調査は、主に売上高をベースとした市場規模推計ですが、家計構造調査は、各世帯ごとの消費と支出の内訳や傾向について調査されています。この中でECについては、「通信販売の利用」という表記で調査結果が出ております。2019年と、少しデータが古いかもしれませんが、消費者目線での市場把握は必ず持っているべき視点ですので、チェックするのをおすすめします。(家計調査は5年に一度の調査で、次回更新が令和6年度となりますので、チェックしておきましょう)
業界団体
業界団体では、日本通信販売協会(JADMA)があります。日本通信販売協会では、商品分類ごとの毎月の売上高と前年同月比をWEBサイト上に掲載しています。また、通信販売の企業実態調査や、利用実態調査の報告書も有料販売されており、特にBtoC-EC市場に携わる場合はチェックしておくべき情報源です。
業界専門情報から調べる
専門業界誌・調査会社等
「EC 新聞」、「EC 雑誌」などで検索をし、出てくる業界専門誌のサイトなどからEC市場の情報を入手するという方法もあります。ECに関係する業界新聞としては、日本経済新聞社の「日経MJ(流通新聞)」や、通販新聞社「通販新聞」などがあります。新聞以外の専門誌ではMIKATA(株)の「ECのミカタ通信」なども注目情報源です。
また、ECはBtoC、BtoB問わず今後どの業界においても市場拡大・利用促進が見込まれます。また、世の中のトレンドや消費者のライフスタイルの変化によって急激に市場も変わっていきます。そういった意味では、直接的にECのことだけではなく、広く世の中の動き、消費者の傾向を把握しておいた方が良いかもしれません。
主力企業情報
その業界に関連する企業のサイトや、決算発表情報の内容を確認すると、有用な情報が記載されていることも多くあります。EC業界では、例えばAmazonや楽天などのEC業界を代表する企業のWEBサイトやニュースはこまめにチェックして、業界動向を常に把握しておく必要があります。このような大手企業の動向を追っていると、その業界の課題、新技術の開発、倉庫・配送拠点、決算見通しなどの情報が入ってきます。決算予報や、中期経営計画なども公開されていますので、予測を考える上での有益な参考情報となります。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先に紹介した方法で期待する粒度の情報が入手できなかった場合、また情報が多すぎて取りまとめるのが難しい場合には、市場調査会社にアドホック調査を依頼するという選択肢もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通してオリジナルな情報を収集し報告する形式をとっており、一般では取得が難しい情報にリーチできる可能性があります。
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EC市場を知るためのおすすめ情報源3選
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様からEC市場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「EC市場」に関するおすすめ情報源を3つ紹介いたします。
令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書 -デジタル取引環境整備事業- 経済産業省 2023.8
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html
すでに上述しておりますが、基本かつ必須の情報源として押さえておくべき資料です。本ブログでは国内のEC市場についてご紹介しておりますが、越境ECの消費者向け市場動向(日本、米国及び中国相互間)についても調査されており 、網羅的な情報源として重宝いただけるでしょう。
通販・e-コマースビジネスの実態と今後2023 富士経済 2023.4
株式会社富士経済が発刊している通販・EC業界全体を網羅した調査レポートです。通販市場をECなど通販形態別、食品・生鮮品など10の商品カテゴリー別に分析されております。また、 仮想ショッピングモールや主要・注目企業のケーススタディ分析が行われており、物流やキャッシュレスへの対応、現状の 課題など、幅広く市場の展望が紹介されています。
第41回 通信販売企業実態調査報告書 -レポート日本の通信販売- 日本通信販売協会 2023.11
日本通信販売協会(JADMA)が会員会社を対象にした調査をまとめたレポートです。媒体別売上高構成比、取扱商品、フルフィルメントなどを集計分析しています。通販・EC市場の傾向として、BtoBやモール系が堅調であること、商材では衣料品や、化粧品、食料品(健康食品を含む)が好調であることが挙げられています。
まとめ
今回は、ECの市場動向の調べ方について解説しました。需要の急激な増加により、利用形態や消費者意識など目まぐるしく変化しているこの業界は、今後ますます目が離せなくなっており、情報収集の重要性が増してきています。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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