市場規模の調べ方は?具体的な方法とおすすめ情報ソースをご紹介!
市場規模とは?
市場規模とは、特定の事業分野における取引額や販売数量といった、業界全体の総売上を指します。
市場規模の推移や市場環境、参入企業の動向などを調べ、その業界の今後の見込みを立てることは、新商品の開発や新事業の検討に欠かせないステップです。
では、市場規模はどのように調べるのでしょうか。市場規模を調べる手順やおすすめの情報源、情報収集における注意点を解説していきます。
目次[非表示]
- 1.市場規模とは?
- 2.市場規模の調べ方
- 2.1.官公庁が出す資料を調べる
- 2.2.業界団体が出す資料を調べる
- 2.3.民間調査会社資料を調べる
- 2.4.シンクタンク/金融機関が出す資料を調べる
- 2.5.新聞・雑誌を調べる
- 2.6.市場規模を調べる際の注意点
- 3.市場規模を調べるためのおすすめ情報ソース
- 3.1.おすすめ情報源 官公庁資料編
- 3.1.1.経済センサス 総務省統計局
- 3.1.2.経済産業省生産動態統計
- 3.1.3.経済構造実態調査 総務省統計局
- 3.2.おすすめ情報源 シンクタンク/金融機関資料編
- 3.2.1.みずほ産業調査 みずほ銀行
- 3.2.2.野村総合研究所 レポート
- 3.2.3.業種別審査事典 きんざい
- 3.3.おすすめ情報源 民間調査会社資料編
- 4.市場規模の算出方法
- 4.1.企業の売上高から算出
- 4.2.フェルミ推定で算出
- 5.まとめ
- 6.関連記事のご紹介
市場規模の調べ方
「市場規模を調べる」と一口に言っても、まず何を見たら良いのか分からず、ひとまずGoogle検索をする、という方も多いのではないでしょうか。Google検索で有用な情報を得られることもありますが、情報収集を効率的にしている人は、調査目的やテーマが定まったあと、信頼性の高い情報から調べていきます。
官公庁が出す資料を調べる
官公庁からは、統計が1年間で約1,000点発表されており、種類が豊富で様々なデータを入手することが可能です。大規模調査が多く、客観性・信頼性がともに高く、ほとんどがWEB上で公開されているため、ExcelファイルやPDFファイルで容易に入手できます。官公庁の資料をチェックすることで、まずは製品などの生産量や販売量、売上等を確認することができます。
業界団体が出す資料を調べる
業界団体の中には会員企業から情報を収集し、独自に統計を作成し公表している団体があります。業界全体のビジョンに関する報告書を公表していることもあります。Web上で公開されているものも多いので自分で市場調査をしている際には確認してみましょう。業界団体によっては世界の統計、情報も公開しています。ただし、会員企業の加入状況で数値が変動したり、調査対象が会員企業のみであるため市場全体をカバーしないこともある点には注意が必要です。
民間調査会社資料を調べる
メーカーや流通事業者への取材等に基づき、民間調査会社独自の調査で作成された資料です。上の2つが、事実に基づく統計データを中心に公開しているのに対し、企業シェアやランキング、チャネル別データ、長期予測データなどが載っています。官公庁の統計ではカバーされていない産業や企業シェアといった情報が多くあります。民間調査会社には、富士経済のような総合調査会社だけでなく、特定業界の調査を得意とする専門調査会社も多数存在します。調査レポート購入の際は、調査テーマに詳しい調査会社はどこか抑えておくといいでしょう。注意点としては、官公庁や業界団体の公表資料とは異なり、高額な資料が多いということです。
シンクタンク/金融機関が出す資料を調べる
様々なデータを引用してまとめているため、市場動向の概要をつかむことができます。自分自身ではひとつひとつのファイルを確認しないと作れない年次推移データなども、見やすくグラフでまとめられていることがあり、さらに、今後有望なテーマや産業が取り上げられることも多いです。
新聞・雑誌を調べる
これまでご紹介してきた情報に比べると、まとまったデータは少ないですが、とにかく速報性があります。業界の動きや、競合・参入企業の情報を、ほぼリアルタイムに把握することができます。記事によっては、国や民間調査会社のレポートから、市場規模を引用して掲載している場合もあります。
市場規模を調べる際の注意点
ただやみくもに市場規模の数字を集めても、取扱いを間違えると、大きな損失に繋がりかねません。注意点はたくさんありますが、特に統計で使われている「言葉の定義」には、要注意です。
例えば、「パソコンの台数」の場合、統計によって、以下のような違いが生まれることがあります。
・タブレット型を含む/含まない
・調査対象が業界団体加盟企業に限られる/限られない
・調査対象の事業所の規模に条件がある/ない
言葉の定義や調査範囲は、調査概要や調査票に記載されていることが多いので、市場規模を調べるときは、あわせて確認する習慣をつけましょう。
▼市場調査にお困りならMDB ⇒資料ダウンロードはこちら
市場規模を調べるためのおすすめ情報ソース
次に、おすすめの情報源を紹介していきます。
おすすめ情報源 官公庁資料編
経済センサス 総務省統計局
事業所及び企業の経済活動についてまとめられた基幹統計です。経済センサスは基礎調査と活動調査に分かれており、基礎調査では産業別の企業数や従業員数、活動調査では産業別の売上金額のほか、小売業の売場面積など、特定の業種に関する産業活動についても確認できます。
5年に1回の大規模調査となりますが、実施時期を埋める調査として、経済構造実態調査が実施されています。
経済産業省生産動態統計
鉱工業の生産に関する統計で、「鉄鋼・非鉄金属・金属製品」「化学工業」「機械」「窯業・建材」「繊維・生活用品」「紙・印刷・プラスチック製品・ゴム製品」「資源エネルギー」分野の品目別に、生産、受入、消費、出荷、在庫状況を把握することができます。毎月調査されており、調査結果をまとめた形の年報も公開されています。
2024年、時系列表の変更がされている点、利用に注意が必要です。
経済構造実態調査 総務省統計局
全国の企業、事業所を対象に年1回(経済センサス‐活動調査の実施年を除く)行われる調査です。 経営組織や資本金等の額、企業全体の売上(収入)金額などについての産業を横断した情報を取得できます。2022年度より、「工業統計調査」として毎年実施してきた調査が、本調査に組み込まれることになりました。
おすすめ情報源 シンクタンク/金融機関資料編
みずほ産業調査 みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/index.html
みずほ銀行は毎年、「日本産業の中期見通し」を公表しています。産業別に5年後の産業別動向の見通しとともに市場規模の推計が掲載されており、今後の産業別の市場を予測する上での参考として、利用する機会の多い情報源です。
野村総合研究所 レポート
https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst
「デジタル」「経済」「社会・産業」「技術」の4テーマ別に、野村総合研究所がまとめたレポートを公表しています。金融業界の動きや特定市場の課題、企業向けのアンケート調査の結果など、多種多様なレポートが収録されています。
業種別審査事典 きんざい
業界について、まず基礎知識を得たい時に最適な情報源です。2024年発刊の第15次業種別審査事典では1600もの業種を、全10巻にて収録しています。業界に関する統計等、市場規模に関する情報を引用しまとめている他、関連法規制、業界団体なども掲載されています。
おすすめ情報源 民間調査会社資料編
H・Bフーズマーケティング便覧 富士経済
総合調査会社として有名な富士経済は、消費財から生産財、サービスまで幅広い分野で調査レポートを発刊しています。「H・Bフーズマーケティング便覧」では、いわゆる健康食品やサプリメントのほか、健康を訴求する一般の食品も対象とし、「整腸効果」や「免疫対策」といった訴求内容を切り口とした市場の規模や企業シェアを掲載するなど、一般的な統計では捉えられない情報まで掲載されています。
世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑 グローバルネット
グローバルネットは半導体関連の調査レポートを発行している専門調査会社です。「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑」では、半導体製造装置について、装置別の世界、地域別の市場規模や企業シェアなどが掲載されています。
2024-2033 テクノロジー・ロードマップ 全産業編 1・2 日経BP
今後市場ニーズを生んでいくであろう121の技術の進化を予測した情報源です。各テーマの2033年までの世界(または日本)における市場レベルでの全体潮流や、関連した市場ニーズ、市場規模といった情報がまとめられています。
市場規模の算出方法
官公庁や民間調査会社の資料では出てこないような、ニッチな業界や、最近新しく出てきたような業界の場合、「市場規模」の情報がないということもあります。そのような時の市場規模の算出方法について、比較的容易な方法をご紹介します。
企業の売上高から算出
一般的な方法として、売上高と業界シェアから算出する方法があります。シェアの割合と売上高がそろえば、以下の計算式から算出されます。
売上高 / 業界シェア= 市場規模
売上高が20億円、企業シェアが10%の場合、上記の式の当てはめると、以下のようになります。
20億円 / 0.1 = 200億円
フェルミ推定で算出
「フェルミ推定」は、「日本にマンホールがいくつあるか」「日本に存在する犬の数」といった、一見、調査や実測が難しい数字を、論理的思考力で概算することです。特定の方法はなく、分かっている情報により手順が変わります。
市場規模を推定する場合、商品の消費に関わる消費者の数や利用頻度、1回あたりの支出金額や、販売する側の店舗数や売上高などから推定することができます。対象の市場がニッチな場合は、近しい商品や上位概念から、推定します。
まとめ
今回は、市場規模の調べ方について解説しました。ご紹介した調査手順や情報源が、皆様の調査活動に少しでも役立つと幸いです。
「初めて調査する業界で、まずどんな統計や調査会社の資料があるのか分からない…」「調査に不慣れで時間がかかる…」といった場合は、MDBの情報コンサルタントが皆様にかわってお調べいたします。ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
▼市場調査にお困りならMDB ⇒資料ダウンロードはこちら