
植物工場の市場規模は?市場動向の調べ方を徹底解説!
植物工場は、農作物の安定的な供給、高品質の実現、省人化など、様々な側面でメリットがあることから近年ますます注目を集めています。特に、近年では自然災害による影響が深刻化する中で、食料安全保障の観点から、植物工場は課題解決の一助になることが期待させています。植物工場で生産された野菜は、露地栽培や施設栽培による野菜に比べて価格が高く、生産コストの削減が大きな課題になっております。光源としてのLEDのほか、栽培工程の自動化や施設の無人化を実現するロボット、ICT、AI、IoTなどの先端技術が活用され、低コストで高効率な次世代型植物工場の開発が進められているところです。現在の主な栽培品目であるレタスやトマト類に加え、今後はより多くの品目に対応した栽培技術の開発と拡充が期待されます。
当コラムでは、今度も市場の盛り上がりが予想される植物工場の普及見通しや市場規模など最新の市場動向を把握するための情報収集法について、解説していきたいと思います!
目次[非表示]
- 1.植物工場市場の現状
- 2.植物工場の市場動向の調べ方は?
- 2.1.インターネット上のオープン情報から調べる
- 2.2.官公庁統計、業界団体情報から調べる
- 2.3.業界専門情報から調べる
- 2.3.1.調査会社等から調べる
- 2.3.2.専門業界誌・ ビジネス誌を確認する
- 2.3.3.個別企業情報
- 2.4.市場調査会社に新たに調査を依頼する
- 3.植物工場の市場を知るためのおすすめ情報源3選!
- 4.まとめ
- 5.関連記事のご紹介
植物工場市場の現状
植物工場とは?
植物工場とは、施設内で植物の生育に重要な環境要素(光、温度、湿度、CO2濃度、養分、水分など)を統合的に制御し、データの蓄積と生育予測に基づき、季節や天候に左右されずに野菜などを計画的かつ安定的に生産できる栽培施設を指します。
閉鎖環境で蛍光灯やLEDを用いる「人口光型」、音質のような半閉鎖環境で太陽光を基本とする「太陽光型」、人口光と太陽光を併用する「併用型」の3種類に分類されています。
植物工場の市場規模
2025年3月に一般社団法人日本施設園芸協会が発表した「大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査」によると、2025年2月時点の日本国内における植物工場施設数は438箇所となり、現在の基準で施設数の計測を始めた2020年度から施設数は約1.4倍に増加しました。種別では人工光型施設の増加数は2020年度以降で4箇所と僅少ですが、太陽光型施設は同33箇所、太陽光・人工光併用型は同15箇所と大きく増加しています。
出所)大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査(令和7年3月)一般社団法人日本施設園芸協会 よりMDB作成
植物工場の市場動向の調べ方は?
次に、植物工場の市場動向や主要プレイヤー情報、今後の市場予測情報を、自分で収集する場合にどんな方法があるのか?について解説します。
植物工場のマーケット情報で重要な市場規模、企業シェア・予測等を調べる方法としては、①インターネット上のオープン情報から調べる、②統計情報から調べる、③専門業界情報から調べる、④市場調査会社に新規調査を依頼する、の4つの方法があります。
インターネット上のオープン情報から調べる
Googleなどのウェブブラウザで「植物工場 市場規模」、「植物工場 市場動向」、「植物工場 事例」などのキーワードで検索すると、多くの記事情報がヒットします。この記事情報を辿っていくと、市場調査レポートの発行元が発表しているプレスリリースや、国や業界団体、シンクタンクが発表している無料の調査報告書が見つかります。これらの情報を見ることで大きな潮流はどなたでも把握できると思います。
官公庁統計、業界団体情報から調べる
信頼できる情報源としては、第一に国の統計があげられます。その次に業界の企業が加盟している業界団体の情報です。該当の統計があれば、そこで市場規模の情報が入手できます。
インターネット等で、植物工場等のキーワードで業界団体や関連の官公庁サイトを探し、統計情報があるかを確認、その中に植物工場の情報があるかを調べます。
官公庁
官公庁の統計データには、「植物工場」そのものの情報は掲載されていないようです。経済産業省や農林水産省では常時様々な審議会が開催されており、過去には植物工場の推進に関する検討も実施されています。定期的に審議会テーマをチェックし、関連する議事録や配布資料を確認することで関連動向把握に繋がる可能性があります。
また2024年10月には農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術促進法)が施行となりました。関連政策内で補助金制度の創設などの後押しにより市場が活性化する可能性があり、関連政策動向については常に注視しておくことが重要です。
業界団体
業界団体では、一般社団法人日本施設園芸協会があります。同協会が2025年3月に発表した「大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査」の報告書は農林水産省のHP上で公開されており、市場規模推移などの各種市場データや関連事業者の運営実態に係るアンケート結果、優良運営事例など、市場情報が豊富に掲載されています。植物工場に関する情報源としては、必ず見ておくべき業界団体となります。
業界専門情報から調べる
調査会社等から調べる
植物工場に関する主要な市場調査資料は2つあります。
1つ目は、富士経済の「2024 アグリ&水産養殖ビジネスの現状と将来展望」です。植物工場そのものの市場データの他、植物工場を構成する各種システムや植物工場野菜にも焦点を当て、それぞれ市場・技術概況を整理しています。
2つ目は、矢野経済研究所の「2024年版 植物工場の市場実態と将来展望」です。市場規模や予測のみならず、有力植物工場運営事業者の動向など幅広く市場情報を調査しています。
専門業界誌・ ビジネス誌を確認する
調査会社のレポートに加え、専門業界誌・ビジネス誌をチェックすることで、事例や最近の動向を確認できます。「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)や「日経ビジネス」(日経BP社)では定期的に農業の特集が組まれています。また、「日本食糧新聞」(日本食糧新聞社)や「日刊工業新聞」(日刊工業新聞社)は、不定期ですが植物工場に関する取材を行っており、最新の動向・企業事例を確認することが可能です。
個別企業情報
主要な植物工場事業者名は、一般社団法人日本施設園芸協会の「大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査」の中で一覧化されています。各企業のホームページでは直近の取り組み内容等のリリースを確認することができ、それら情報を通じて業界のトレンド把握が可能です。
市場調査会社に新たに調査を依頼する
先に紹介した方法で期待する粒度の情報が入手できなかった場合、また情報が多すぎて取りまとめるのが難しい場合には、市場調査会社にアドホック調査を依頼するという選択肢もあります。公開情報を幅広く集めて、整理・分析するということに加え、有益な情報を保有する業界関係者・有識者等を探索し、インタビューを通してオリジナルな情報を収集し報告する形式をとっており、一般では取得が難しい情報にリーチできる可能性があります。
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植物工場の市場を知るためのおすすめ情報源3選!
弊社が運営するマーケティング・データ・バンク(MDB)でも、メンバー企業様から植物工場に関する調査相談を数多くいただいております。ここでは、弊社の情報コンサルタントが厳選した「植物工場市場」に関するおすすめ情報源を3つ紹介いたします。
おすすめ情報源① 大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査
大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査 2025.03 一般社団法人日本施設園芸協会
https://jgha.com/wp-content/uploads/2025/03/TM06-06-bessatsu1.pdf
先にもご紹介しましたが、情報源として一般社団法人日本施設園芸協会は外せない情報源です。植物工場施設数の推移、参入企業の運営実態に関するアンケート、優良運営事例など市場情報が豊富に掲載されています。植物工場市場全体を把握するうえでは、非常に有益な情報源になります。
おすすめ情報源② アグリ&水産養殖ビジネスの現状と将来展望
2024 アグリ&水産養殖ビジネスの現状と将来展望 2024.07 株式会社富士経済
https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=162401803&la=ja
株式会社富士経済は、農業・水産業を取り巻く様々な課題解決につながる各種生産プラントや構成機器等の市場に着目し、調査レポートを発刊しています。同レポートでは人工光型植物工場そのものの市場に加え、植物工場を構成する空調や光源などの設備市場、ならびに生産物である植物工場野菜も調査対象としており、それぞれの市場規模、予測、注目企業動向などがまとまっているおすすめの情報源です。
おすすめ情報源③ 農業技術/ビジネスの動向分析調査
2022年 農業技術/ビジネスの動向分析調査 ―スマート農業、生物農薬、バイオスティミュラント等の革新的な市場を探る― 2022.06 TPCマーケティングリサーチ株式会社
https://www.tpc-osaka.com/c/chemical/mr410220589
TPCマーケティングリサーチ株式会社は「スマート農業」をキーワードとした調査レポートを発刊し、植物工場の市場規模推移・予測、主要企業動向に加え、特許公開状況、産官学連携プロジェクト動向など、幅広く業界動向をまとめています。主要企業動向では、三菱ケミカル、エスペックミック、スプレッドといった企業毎に展開商品の状況や今後の事業の方向性について個票形式で整理されています。個別企業毎の深掘りされた情報把握に繋がるおすすめ情報源の一つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、植物工場の市場動向の調べ方について解説しました。様々な業界に拡大していくこの市場は、今後ますます目が離せなくなっており、情報収集の重要性が増してきています。
弊社マーケティング・データ・バンク(MDB)にも関連資料は豊富に取り揃えていますので、もっと詳しく調べたい方や、有益な情報源を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。MDBメンバー企業の方はすぐに調査をご相談いただくことも可能です。
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